<Liver trial>
















「跡部、栞ちゃんが可笑しいからこの部屋出よう」
その人が気にならないと言ったら嘘になる。
けれどその女性の姿を見た時から栞の様子が可笑しい。
此処は栞を落着かせるのが最優先だ。
後ろ髪を惹かれつつもその部屋を後にする。
幸い部屋を出てもその女性が邪魔をしたりはしなかった。

















「栞ちゃん大丈夫?」
追い掛けて来ない事に安心した緋桃は栞に話し掛け顔を覗き込む。
−お姉ちゃん…大丈夫−
無理に笑顔を作ろうと栞は緋桃に笑い掛ける。
「アイツお前の母親なのか?」
宍戸が遠慮なく質問をする。
一瞬栞は伏せたが頷いた。
−お母さん…はお父さんに殺されたの−
涙を流して栞は言った。
−お母さんはもう可笑しくなってたの−
ストレスからか母親はもう笑顔を見せなかった。
それから直ぐに惨事が起きた。
−酷いわね…栞ちゃんがいけないんじゃない−
階段付近で話し込んでいると栞の母親が現れた。
「可笑しいですよね」
「何がや」
鳳は先程から何かを考え込んでいたがふと口を挟んだ。
「ダイニングにしかいられないんじゃ…」
−そんなのあたしには関係ないわ−
何処にだって自由に行き来出来る。
彼女は鼻に付く笑いをして彼等を見た。
栞は只怯えていた。
−栞ちゃん如何したの?こっちにいらっしゃい−
嫌な笑い方をする。
背筋の凍る様な耳に残る声。
「何で貴方は未だ此処にいるの」
栞は探し物をしている。
ならば彼女にも何か未練があるのでは…そう緋桃は考えた。
−何もないわ−
彼女の表情からは何も伺えない。
−あたしには何もない…−
含みを込めた彼女の声。
それが気になるがそれ以上は答えない。
−何もないから此処に居るのよ−
彼女はそう言って緋桃の目の前に来て緋桃に微笑み掛けた。
「何…?」
−気に入ったわこの子、あたしにちょうだい−
何を…?
そう思った時には遅く、緋桃は栞の母親と共に消えた。
残された彼等は呆然と立尽くすだけだった。






















「クソッ、何処に行ったんだよ」
手分けして2階の部屋を探し回った。
緋桃の気配所か何もない。
何処にも居ない。
不安と焦りが彼等の表情に表れて来た。
「栞、何処に居るのか解らへんのか」
ガタガタと震える栞の肩を掴もうとするが触れる筈もなく、忍足の腕は空を切る。
−…解ら…ない…−
只々首を横に振り震える事しか出来なくなっている。
栞は小さなパニック状態に陥ってしまっている様だ。























「イ…ッタ…」
急に頭痛がして気付いたら1人だけ別の場所に居た。
栞の母親と名乗る女性が目の前に立った瞬間、激しい頭痛に追われ意識を手放した。
それからの記憶がない。
「此処…何処」
訳の解らない空間。
乗り物酔いでもしたかの様な嘔吐感。
ぐるぐるして、自分が立っているのかも定かではない状態になる。
辺りを見回しても暗いだけ。
緋桃の他に何もない空間が何処迄も続いているだけ。
「皆何処だろ…心配してるかも」
平衡感覚等殆どない状態だが立ち上がって辺りを見回す。
ポケットに入っている携帯を取り出してライトを点ける。
が、入れてあった電源も切れていてつかない。
何度も携帯の電源を入れようと試みるが一向につく気配はない。
諦めて携帯をポケットにしまう。
「如何しよう…」
唯一の手段を奪われ途方にくれていると、後方が光っている。
振向いて見ると目映いほどの光。
その光が徐々に近付いて緋桃はその光の中に吸い込まれて行った。





























あうぅ。
思う様に進まない。
想像してた様に行かない…如何して?!
未だ未だ続きます。
終わりません、ぶっちゃけ終わらせたいです…(ヲイ
地道に頑張りますです!!
2005/08/29